いわて銀河ウルトラマラソン

2時出動。
駅前から送迎バス。何事もなく到着し、何事もなくお手洗いを済ませ、何事もなくスタート位置にスタンバイ。
夜明けが早い。すでに外は白み始めている。
ただ曇りがち。これはこれで悪くないコンディション。
今回の想定は11時間。
暑くなる前に距離を稼いでおきたい。
4時、足にちょっと重さを感じながらスタート。でも一応普段通りのペースのつもりで。もくもくもく。
時計も見ずにはしる。
10km。はじめて時間を気にする。
65分!えー。
目をこすってじっくりみても変わらない。
先行ー行き倒れタイプのぼくは、普通ツッコミだけは結構速い。
55分か、もちょっと前あたりを想定してたのに。
前方に暗雲がたちこめる(ような気がする)
11時間の目標は早々とあきらめる。

危惧していた通り17,8kmで足が進まなくなり、20kmを過ぎてぱたりと止まる。
足が前に出ていかない。
なんでしょ、この展開。走り過ぎるランナーを眺めながら呆然と立ち尽くすぼく。
本気で走れないや。本気と書いてマジと読む。
さすが鬼門の岩手銀河。まあ、お疲れもあるし、ちょっとレーススケジュールが派手すぎたかな。
今後の反省材料として、今回はリタイアやむなしということでー。

ただ、ふと考えると、ここからどうやって帰ればいいんでしょう?
岩手銀河は豪快な100kmワンウェイ。
お荷物は、お財布、携帯ひっくるめてすでに80km先。
ま、お時間もあるのでゆっくり考えましょう。縁石に腰掛け、ぼーっと考える…
寝てた。
頭がガクンてなって目が覚めた。なんか夢も見てたみたい。
時計を見る。どれくらいたったんだろう。
速度表示はもう止まってる。
ただ身体はなんだかすっきりしてる。立ち上がる。
おや?脚が動く。しょーがないのでもう少し走りましょうかね。
走り始める。次のエイド。
25km地点。時間はちょうど3時間。
このペースだと、100km12時間かあ。
ただこれから峠越えだし、暑くなってくるからタイムはもっと落ちるよな。

実は新幹線の予約が気になる。12時間走って、着替えて、銀河鍋たべて1時間の予定で指定席とってる。
遅れると、ちょっとめんどくさいことになる。あーやだ、やだ。

「あきらめたら、そこで試合終了てすよ」
安西先生、うるさい。それに、もういろんなこと諦めてます^^;
(注:安西先生は漫画スラムダンクのバスケットボール部の監督さんね)


走る。35kmから57kmまでが上り。これが噂のなめとこライン
トンネルが3つ。1番長いのは1.7kmもあります、という岩手銀河豆知識。
ぶーたれながらも走って上る。
上って下り。下り坂13kmの大盤振る舞い。
だーっと走って、走って、走って、脚がぴたりととまる。
70kmエイド。
ここまで走って9時間。
ゴールから着替えないで、そのまんまバスに駆け込むとするとタイムリミットは13時間ってことで、あと4時間。
キロ8分で30kmかぁ。この脚だと自信ないなあ。エイドもお手洗いも行かなきゃなんないし。
現状打破の秘密兵器発動。
今日はもうすでに1度使っているあの技。
そう、寝ます。エイドのチェアに腰掛けてー。
不眠症が嘘のように、すぐに意識が飛びます。

「お休みのところ、失礼します」
誰かが話しかけてる。
ん?あれ、KABAさん。
なにしてんの、こんなとこで。
しばしお話。
暑さと峠に苦労してるって。
わーい、一緒一緒(^^)
お互い苦労が絶えないねー。

リスタート。ちゃんと脚が戻ってきてる不思議。
それにしても暑い。エイド以外にも結構頻繁に給水車が水を運んでくれています。見つけるたびにかぶり水。
ゼッケンが紙なので、千切れないよう用心して。
で、走る。

ここから覚えてるのは牛乳寒天とお米のミルクが美味しかったことと、黒猫に前を横切られて、写真を撮りたかったのにスマホ持ってなくて後悔したこと、コーラ沢山飲みたいなら缶ごといきなっていわれて、一気のみしたら結構苦しかったこと、クッキーや柚餅子出してくれたエイドで「行ってらっしゃい」って言ってくれたおばあちゃんに「行きたくありません」って言ったら「そんな事言われたら困るー」と可愛くいわれたこと…
とまあ、なんだかんだでへろへろゴール。
時間12時間30分2秒、年代別101位。
もうちょっとで30分きり、もう1人で100位。このちょっとズレ具合がぼく。
新幹線にはちゃんと着替えて間に合いました。銀河鍋食べる時間はなかったけど。

記録:12時間30分2秒

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