佐渡一周エコジャーニー

佐渡一周ウルトラ遠足 208km
遠足と書いてとおあしと読みます。
レース前日9月22日新潟駅でnancyと落ち合い、新潟港に向かう。
新潟港からジェットホイールで佐渡に到着。宿泊するホテルへの送迎バスに乗って、もう一つの佐渡上陸手段、カーフェリーの到着を待つ。
フェリー到着。押し寄せる酔っ払い軍団。このマラソンの別名は、究極の飲兵衛マラソン。フェリーでは、往路から船内で宴会となると聞いている。
すでに自力で歩けず、人の肩にぶらさがりながら、バスに乗り込んで来る人もいる。酒くさい。他人のふりをしよう^^;

小木港からバスで1時間。結構かかって宿に到着。部屋は男女別申込み順相部屋。同室の4人の皆さんとご挨拶。うち2人が経験者。
このレースのリピート率はとても高い。
夕食の時に発表になった数値ではたしか5割ちかかったはず。今回の参加者が160人弱でうちリピーターが78名、だったかな^^;

説明会17時。コースと留意点を一通り話してくれる。
渡された地図は24ページ。かなり見ずらい白黒コピー。
原則佐渡島一周道路をはしり、左手に海を見る。
注意点は16か所。方向に迷ったら、赤いチカチカ付きの矢印マークを探せ
(これ走ってから気が付いたんだけど、見つけづらいったらもう(^^;-あるの知らなきゃわかんねーよ(-“-)
誘導員はいない。
がんばってね、と。
かなり不安(^^;

夕食開始18時。シャンパンで乾杯。何故いきなりそんなものがでる。
フリだけ乾杯。食事終了で解散となるが解散しない人もいる。ぼく知らない。

部屋に戻って、しばし同室の方とご歓談。
今度が3回目となる経験者の人が「もう、何でも聞いて」と元気に話してくれる。
何も聞かなくても教えてくれる(^^;
「このマラソンはさぁ、関門なんてないんだから適当に走れば完走できちゃうよ」
「仮眠の場所だってちゃんとあるんだから、そこでしっかり寝りゃあ100kmのウルトラ2日走るだけの話」
「しっかり寝て、疲れとらなきゃあ」
「このマラソンは長く楽しんだほうが勝ち、早くついてもどうせぼーっと待ってるだけなんだから」

話を聞いて、まだ決めきれなかった仮眠時間の方針を決める。しっかりとる。

朝4時起床、朝食5時、6時少し前、スタート地点のホテルの前の白線に並ぶ。
運営の人(全員で3人か4人)が持つ目覚まし時計がなったらスタート。
天候は小雨。気になるほどではないのでカッパは着ない。
時計鳴る。スタート。だらだらと走り始める。
仮眠時間の方針を走りながらnancyに伝える。
「わかったー」はい、よろしい。

道路沿いに広がる海岸の景色は華麗にして荘厳。
思い描いていた以上のダイナミックさで岩が並ぶ。
さながら彫刻を思わせるような繊細な姿をみせるものもあれば、団体でその配置に妙を感じるような集合美。
ずっと見ていたいと思うが、これはかなえられる望み。
ずーっと続きます。180kmくらいはこんな景色です(^^;

第一エイドは30k地点甘酒かコーヒーをいただけます(どちらかひとつです)
水分はあらかじめ背中にハイドレーションをしょっている。
出発前にいろはすのオレンジを2本入れてきた。そろそろ危ないので自販機でアクリアスといろはすの天然水を1本づつ投入。
ミックスジュース状態やむなし。
このあと、この中にはいろはすの桃や、レモンの炭酸水、キリンレモンといろんなものが投入されることになる(^^;

走る。
道を歩く人に出会うと必ず何か言葉をくれる。
「佐渡はやさしや土までも」
こう歌われた土地柄を実感する。
跳坂が迫る。通称Z坂。遠くからZ字型に見える山肌をくねる坂道。
「あんたがた、あそこ走って登るんか…気-つけて」
おばさんがエールをくれる。
走る。
おじいさんが問う。
「あんたがた、どこまで行きなさるんじゃ」
えーと、夫婦岩まで。
「大変じゃ。そっち行ったら方向が反対じゃ」
じーちゃん、ありがと。でも一周するから方向はこれでいいの(^^;
Z坂。これは走れない。2mであきらめる。歩いて登る。ダラダラと登る。
下り。走って降りて海岸線。
「あ、かめだー」
nancyがさけぶ。ほー。確かに亀だ。大きな岩礁の頭に細く長く陸地とつながる首。
地名は大野亀。大野さんだな。
断崖絶壁に見える亀の頭になにか生えている。あれは十字架?
なんだろー。そばを走っている人に聞いてみる。あれはなんでしょー?
「十字架…ですかね?」
見てきてくださいよー。お願いしてみる。
断られた(^^;
自分で見に行く気にはなれないので走る。

道は海岸線から、坂を上りまた下る。上った位置にレストラン。ビールを飲んでる人たち。
もちろん出走者。頑張ってください(^^;
一周道路をそれ海沿いの道を行き…やがてなくなる。
「賽の河原」に出る。これもコース。
賽の河原は現世と彼岸の間を流れる三途の川の河原。童が親の供養に積んだ石の塔を、出来そうになると鬼が来て崩す無間地獄。
そこから地蔵菩薩に救われるという民間伝承。
ぼくには銀河鉄道999の権兵衛のほうが印象深い。
とにかく究極のガレ場。走れるところではない。
ひっそりと歩く。

ここを過ぎてしばらく走ったところで60km地点。ようやく第2エイド。
おにぎりとカップうどん、それに仕出し弁当のおかずセットのようなものがふるまわれます。
なんと、このおかずセット。肉系がない。ありがとーと叫びたくなるが、不満な人はいるかもしれない。
誰も文句は言わないけどね。

走る。子供のころご飯食べてすぐ走ったら横腹がいたくなったことを思い出す。
nancyに聞く。
子供のころご飯食べてすぐ走ったら横腹痛くならなかった?
「慣れたんじゃない」
そうかもしれない。

かなり走る。トンネルをいくつか抜ける。一つのトンネルの長さが2kmに迫るものもある。
あんまりうれしくない。
トンネルは嫌いだ。

両津港が近づく。仮眠所までもうすぐ。
ただ、この道は少しわかりづらいらしい。
道中何度かすれ違ったおねーさんが、自販機の前で休んでいて、そろそろ走り出そうとしている。
たしかあの人、佐渡一周の経験者。
ナンパすることにする(^^;
「あのー、ぼくたちこのレースはじめてなんで一緒にはしらせてもらっていいですかぁ?」
どーぞ、どーぞということで走り始める。
「この道わかりづらいんですよねー、たしかさっきの道から二本目のこの道を左に…ほら矢印のマークがあった」
かすかに見えるか見えない位置に点滅。おいおい、こんなの初めてじゃ絶対わかんねーよ(^^;
この先が不安になる。
でもって、曲がってからがまた長い。本当にあってるのって不安になるくらいの位置で到着。

93km地点、仮眠所「寿月館」到着時間21時。
普通のウルトラに比べるとかなり遅いが、想定していたペース通りではある。
ここで風呂、食事、仮眠となる。仮眠をとらない人もいるが、ぼくはここでゆっくり目に眠ると決めている。
夜走るの怖いし。同室の経験者の人が大丈夫だって言ってたし。
「nancy、明日何時に出ようか?4時?5時?」
「んー、5時」
じゃ5時に玄関前で、ということで別れる。
お風呂に入る。おや、同室の経験者の人。
湯船でほかの人と話している。
「明日何時に出るの?俺1時」
えーっ(^^;、頭を洗いながらびっくりする。
頭を洗い終わったらもういなかった(-“-)
これからnancyさがして伝えるのも面倒だし、もういいことにする。
仮眠。起床4時。低血圧なのでしばらくぼーーっとしてから支度して玄関4時45分。
あ、いるのね。さて出発。
到着時玄関にあった靴の群れがみごとにはけている(^^;
10人いないんじゃないかな(^^;
再スタート。残り115km。時間は25時間ある。2時間10kmで走れば2時間のお釣り
走る。延々走る。海岸線の景色は相変わらず見事だが愛でる気力がなくなる。
海岸線を走り、峠を越え集落に出てまたつなぎの海岸線を走ることの繰り返し。
体調が悪い。足が重い。お腹が痛い。
昨日はペースを考えて、スピードをコントロールして走ってたが、今日はまるでだめ。
第3エイド128km地点。
到着後、いきなりビールのみますかと聞かれたけど断りました。
さすが飲兵衛マラソン(^^;
また走る。
nancyに先をお願いして、しばらくついて走るがついていけない。
申し訳ないけど、やっぱり前に出て走れるスピードで走る。
自販機で給水を口実に休むことが多くなる。1回につきペットボトル2本のジュースをハイドレに突っ込む。
ジュース代に結局4,000円くらい使ったかな。

150kmあたり、残距離68km。小木港。昨日船が到着した場所。
時間を確認する。まだ2時間の余裕はある。
少し長目の休憩をもらう。駅前の駐車場でひっくり返る。nancyは元気。
休憩後走る。
ここまで何組かのランナーに追いついたり抜かれたり。その中でとてもきちんと走っているチームに気が付く。
先導のリーダーが走り、定期的に休憩をとっている様子。
途中、足をあげてどこかにかけて寝転ぶと、ふくらはぎが復活しますよ、と教えてくれた。
ありがたく試す。とても有効(^^)
「わかっている人たち」、という感じがする。

走る。
160km地点の第4エイド。エイドはこれで終了となる。
エイド到着後出迎えの第一声は「ビールあります」だった(^^;
先ほど抜かされた「わかっている人たち」がいた。
ちょうど日没を迎え水平線に太陽が沈む。辺りは暗くなり始める。
早めに休憩を終え、「わかっている人たち」に声をかけて先に出発する。
のこりはほぼフルマラソン。

ここから先、道は少し複雑な山道となり、地図に従わなければならない。
地図読みが苦手なぼくに代わりnancyが懸命に地図を読み道を告げてくれる。
T字路を左に曲がって山に入る。
「大丈夫かなー、間違ってないかなー、こっちが海だよねー」
「大丈夫、間違ってない、nancyはできる子」といい加減に励ますしかできないぼく。
ついに立ち止まり、道にすわって地図を広げるnancy…
と、その時、下から近づいてくる光。
あ、「わかってる人たち」
この道あってるんですかぁ?
「大丈夫、あってます。ここ初めての人にはわかりづらいんです。一緒に行きましょう」
頼もしい言葉。のこすとこあと30km、制限時間まで7時間のところ。
この先はありがたくご一緒させてもらうこととする。
「ぎりぎりまで、楽しく走りましょう。2時間10kmで1時間余裕ありますから」
同じようなことはぼくも考えてたんだけどね(^^;
ちなみにこの人たちは、もともとはウルトラでたまたま顔を合わしてただけの付き合いだったということで、しっかりしたランニングチームといううわけではないらしい。
ただ、先導の男女二人は先週雁坂を走った猛者で、男性の方は「川の道」(葛西臨海公園から川遡って、日本海に出るやつで520km!)も走ってるとか。
とにかくこの男性のレースマネージメントがすごい。
「歩きまーす」「ちょっとゆっくり走りまーす」「休憩しまーす」の繰り返しで、走り切れちゃったよ。
「ちょっとゆっくり走りまーす」がゆっくりじゃ無かったよね、とはあとでこっそり話したけど。
それでも途中、「仮眠30分とりまーす」ってのには驚いた。

で、到着。
時間は午前4時57分。制限時間まであとほぼ1時間。すごーい。
到着後ふるまわれるハヤシライス。
ちょっと口をつけたけど、ほとんど進まない。
レトルトだからお肉入ってるし(^^;
振り向けば同室の人、ゴール。
2時に仮眠所出てから走れなくって、ずっと早足で歩いてきたとか。
部屋から心配して見に来てくれた人と、手を取って喜ぶ。
連れ立って部屋に戻ると、経験者の人が浴衣きてひっくり返ってる。
「おそいよー、心配して眠れないじゃん」
「だまされたー(^^;」
「このレースは長く楽しんだ人が勝ち!おめでとう(^^)」

8時から朝食兼宴会。
テーブルの上には山ほどのビールと日本酒。
はじまる表彰式。
「表彰1位24時間何とか分、何とかさん」えー、速いー
「は、もう帰られました」えー
ということで、表彰は続き最後。
「ブービー賞 なんとかさん(ぼくの同室の人)」おー。
すごいすごい(^^)
「まだ用意した日本酒が余ってますので、ブービー賞の前の人」
「にゃんたさん」えー。

戴いた日本酒は同室の方に差し上げました。

記録:208km 記録 46時間57分

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA