運の良い男

佐渡島一周の翌日というかゴールは午前2時だから当日だな。
朝食兼打ち上げが終了し、一同帰りの船のためにバスで両津港に向かう。
相方とぼくには計画がある。
毎年夜にしか走らない区間の景色を明るい時間に楽しみたい。
でも自分の足で走るのは疲れるので、電動自転車を使う。
こんな予定。

両津港から海岸線沿いに右へ、端の姫崎から下へ。
ゴールは小木。ゴールの小木に豪華夕食付きのホテルを2部屋予約している。
両津のアウトドアショップで食事の後、電動自転車を借りてスタート。
ちなみに今日もベジタブルバーガー。

気持ちの良い空、心地よい風。
最初の目的は姫崎灯台。
現役では日本最古の鉄造灯台にして、世界灯台100選に選ばれる。

かっこいい灯台。
帰ろうとしたら敷地を管理しているらしいおばさんが、カカシを持ってきて立て始めた。
「ちょっと作ってみたんだけどどうかな」


前日の虹にオズの魔法使いを思い出していたぼくには、嬉しいプレゼント。
いいです。とってもいい。
いきなりこういうのに立ち合えるなんて全くぼくは運が良い。

再び始まる自転車旅。
相方は少し前を走っている。
海岸線、坂道は結構あるが電動アシストのおかげで楽々。
平日だからか山側だからか、ほぼ行き交う車もなく淡々と自転車を漕ぎ続ける。
スピードも乗ってくる。
海岸線の単調な景色に少し意識が飛びそうになる。
そして事件は起こる。

ガシャン。
ガードレールに勢いよく突っ込んだ。

衝撃で後輪が跳ね上がり、前転しながらガードレールを飛び越える。

 

ほぼこの体勢のまま後輪が木にぶつかって止まる。ずるずると下に沈み、リュックが地面につく。
ハンドルを握ったまま考える。
あらあらあら。まいったな。でも痛いとこない。
さてどうしましょう。

考えてたら、車が止まって頭の上から声をかけられた。
「大丈夫ですかぁ!」
あ、はい。大丈夫です。
ここで初めて自転車のハンドルから手を離し、はいずり出して立ち上がる。
すいません。自転車引っ張り上げるの手伝ってもらえますか。
「もちろん」
ということで、木というか蔦に引っ掛かっている自転車を引き上げる。
ふー。あ、ありがとうございます。
「え、大丈夫なんですか?」
はい。怪我もしてないし。
「そうですか。じゃあ気をつけて」

とりあえず現場写真。

木の向こうは崖。よかった、飛んでいかなくて。
自転車のハンドルから手を離さなかったのが勝因かも。
やっぱりぼくは運が良いのね。

おっと。相方ほったらかしだ。自転車動くようだったので、急いで坂を下ります。
すぐ下で待ってくれていました。後ろからこないの気がついていた様です。こんなことになってるとは思ってもみなかったようですが。
バス停で民家の前でもあるこの場所、ちょうど出てきてた民家の人にもご挨拶して自転車を止めさせてもらいます。

ちょっとここで落ち着いて考えます。
まず持ち物検査。パンツのポケットのお財布、スマホ無事です。
自転車の状態確認。
ライト破損。前輪ブレーキ断線。
くらい?
さてどうしましょう。
ちなみに場所はこのあたり。スタートから30kmくらいかな。

自転車を借りたアウトドアショップに電話します。
すいません。自損事故やっちゃいました。場所は東鵜島です。
「大丈夫ですかぁ?どうされますかぁ?」
自転車動く様なので、一旦予定してた小木まで行って泊まりますのでそこまで自転車引き取りにきてもらえますか?
と言うことで話がついたので、も一度民家の方にご挨拶して出ようとしたら「ちょっと待って」と。
「気をつけてね」って栄養ドリンクくれました。
ありがとうございます。

で、坂を下って目的地に向かいますが5kmくらい行ったところでふと気になりました。
あ、警察にも報告しておいた方がよいかな。電話することにします。
警察の電話番号って何番だっけー。
わからないので110番にかけました。人生2度目の緊急電話です。
ちなみに1回目は会社の飲み会で部下が急性アルコール中毒になったので、119番で救急車呼びました。

長くなっちゃったので、明日に続きます。