萩往還140km

5月3日、朝7:20の飛行機で山口宇部空港到着。一緒に走るnancy、キリさんはすでに前日入りしている。11時に山口駅で2人と落ち合い、受付を済ませて作戦会議。
ちなみに天候は、豪雨に強風。いー、もー覚悟してた^^;
今回のレースは、午後6時に山口駅そばの瑠璃光寺を出発しまずは防府市に向かう。市内の英雲荘で折り返し一旦スタート地点付近まで、戻る。
ここまでで約50km、関門の閉鎖時間は午前1時45分(だっけ)
再び出発したあとは、今度は萩の方に向かい萩往還道と称される山中の道を約35km、往復するので倍、それに萩市内の20kmを加えた、90kmを走る。
通算の距離は140km、それに対しての制限時間はスタート24時間後の午後6時である。
また、このレースはウルトラマラソンというよりはやはりマラニックで、道中経路の確認については、あらかじめ地図が渡され、それに従って行動するようもとめられている。
道中、特に萩往還道については一切の灯りが無いためヘッドライトの装着がほぼ義務と成っている。
と、いう条件のもと今回の我々の方針は団体戦。防府往復は、ぼくがペーサーとして走り、萩往還道以降は地図読みが得意なnancyとかつての萩界隈を知るキリさんが道案内をする。

午後6時、スタート前にして雨が止んだ。少しずつ青空も見えてくる。
幸運の兆し?nancyの改心?^^;
スタートは、並んだ者順に50人単位のウェーブスタート。「えいえいおう」唱和の後、走りはじめる。我々のスタートは3グループ目、威勢よく走り始めた。
外は徐々に薄暗くなり、ひと時の夕暮れのあとは、暗さに包まれる。この区間は国道沿いを走るため車のライトで明かりは貰えるが、それでもヘッデンを付ける人の数が少しずつ増えていく。
ペースは最初、6分30-40、折り返しからは6分50ー7分で進めた。いつもとは違ってバカみたいには飛び出さない。
ただ、これでは少し遅過ぎたかもしれない。共に走るランナーに次々と追い抜かれるが、気にしないことに決めた。
結局、スタート地点付近に戻ってきたのは午前1時ころだった。

1時半頃、萩往還道に向けて再スタート。瑠璃光寺の手前をかすめ、ダムがあるとその道をまっすぐ進む。
偉そうに書いているが、途中迷って通りかかった人に聞いた^^;
往還道の入り口に到達。
隊列はそのままぼくを先頭で上りは歩き、少しの下りは走るを繰り返す。
真っ暗な往還道、用意された灯りのない中で、頼みは自分と仲間のヘッデンだけ。
足元を照らし、一歩一歩踏みしめるように石畳を上る。
少し顔をあげたぼくの目に飛び込むのは、ごく近距離の高い位置に見える人の背中。一段の高さがべらぼうに高く、かなりな急坂になっていることの証し。

2時間をこえる石畳登坂を終えると、走る時間が増えてくる。
坂を下る。「にゃんた、眠い?」いきなりnancyから声がかかる。ハッとする。
寝てた^^;順番を代わってもらい後ろにひく。
後でnancyに聞いた。ぼくが寝てるのどうして気がついた?その時だけ、急にスピードが落ちた、とのことであった。
ふーん、そうなるのかぁ。
峠を3つ越えたあたりで空が白み始める。走る。萩の手前から、先頭はキリさんに。調子よく引っ張ってくれるが、そろそろnancyに疲れが見える。ついてこれない。一列に並んだ隊列がのびる。
一方キリさんも薬で抑えていた膝痛が悲鳴をあげ始める。玉江駅前で小休止をとり、薬をあおる。
暗闇で足元が不確かな往還道が身体に与えるダメージは半端ではない。

先頭を代わり、なんとか87kmのチェックポイントに到着。マークを付け再び走り始めるが、ついて来てくれない回数が増える。
歩きながらペースを整える。
何回か繰り返した後、決意したようにキリさんが語りかける。
「にゃんた。1人で先にいけ」
「いやだよ。今回は団体戦だもん。みんなで一緒にゴールしようよ」
「にゃんた、今オレのからだには定期的に痛みがきている。痛みのない間は走れるが、そうでない間は無理だ」
「いやだ。DNFならみんなで一緒にそうしようよ」
「にゃんた、まだゴール出来る可能性がある奴がいるなら、そいつは頑張るべきだ」
キリさんには、もともとトレイルが苦手なぼくが、戻りの萩往還道にビビっていることがわかっていたのだろう。
「にゃんた、オレにお前の完走証とメダルを見せてくれ」
nancyが言葉を添える。
「にゃんた、完走するためには106kmの最後のチェックポイントに11時につければ大丈夫。あと2時間あるわ。あなたの足ならいけるから。
もし、それまでにたどり着けなくても、その後頑張れればまだいけるわ」
「…行きます」
覚悟を決める。
カッ飛び猫モード。
波動砲発射直前のヤマトのように、身体中にエネルギーをみなぎらせる。
周りのランナーは既に歩いている人が多い。ゴールまでは見えないが、それでも動き続けている人たち。
ごめんなさいして横をすり抜ける。
前に見える人すべてに追いつく。そんな気持ちで走ってた。
虎ヶ崎、東光寺のチェックポイントを通過し、最後のチェックポイント、陶芸の村公園到着。
時刻は…10時30分。
あれ?これはもう大丈夫なのかな?

安心してはいけない、1番信用出来ないのは自分、復讐するは我にあり^^;
戻りは、往還道を繋ぐ部分でダラダラとした国道の上りが続くか、こちらはトレイルほどは苦手ではない。一歩一歩踏みしめ走って前に進む。
「おかえりなさい」「ナイスファイト」
すれ違う72kグループや35kグループの人がねぎらいや励ましの言葉をくれる。
新しい力となる。
懸命に上る。
「あと8km」
私設エイドの人が教えてくれる。
残り時間はあと、約2時間半。
うち5kmが往還道のなかを走る為、まだ時間が読めない。走る。
走り始めると200mほどで最高地点。
あれ?
前半を思い返す。最高地点到達までひたすらのぼりつづけた。
と、いうことはあとはほとんど下りのみ。
怖がりのぼくだが、石畳と砂利、ごろたの道に突っ込んでいく。
何度か足元が滑ったりぶれたりでその度に膝に負荷がかかる。ふくらはぎの張りも過去マックスに達している。それでも走りつづけた。キリさんと約束したから。
ダムの水音が聞こえ、真夜中に見覚えのある往還道の入り口。
往還道終わりだ。残すはゴールまでの道。
すれ違う人、出迎えてくれる人の全てが笑顔。幸せな気分に包まれながらゴールに向かう。下ってきた坂道はやがてフラットになり、そのまま境内のゴールにつながっている。迎えてくれる人はますます増え、その笑顔のなかにキリさん、nancyの姿が…
なかった。
ゴール手続き後、芝生にひっくり返って「ゴール!」って携帯メッセージを送る。
数分後、nancyそしてキリさんがおずおずと…(^^)
「だって、着くならもっとギリギリだと思って…」
ありがとう。頑張れました。
みんな2人のおかげ(^^)

記録: 140km 22時間10分9秒

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