宮古島ワイドーマラソン

午前4時、スタート会場に集合。
小雨がぱらつく。気温はほぼ20℃。
スタート前。司会の人から、本日の天気予報が発表される。
午前中は、小雨が降ったりやんだり、午後からは低気圧が通り過ぎるため本格的な大雨と強風とのこと。
参加者からは、ヤケクソの拍手。
午前5時、ワイドー三唱ののちに宮古島ワイドーマラソンのスタート。
「ワイドー」は宮古島の方言で「頑張れ」の意味。「広いー」ではない(^^)ちなみに沖縄本島では「チバリヨー」となる。
スタートして、しばらくの間は用意されていた光源で明るさは確保されている。
でも1kmもすると時々おいてある車のライトだけが頼り。あたりは闇におおわれ、心許ない。足元を気にしながら、前へと足をすすめる。
暗い中、拍手を送ってくれるのは農作業の方か。
「ワイドー」の掛け声も飛ぶ。
来間大橋を渡る。周りが暗いので自分がどこにいるかを見失いそうになるが、行く手をさえぎる風は、海風。
海の上を走っている。
橋を渡って引き返す。戻ったところでほぼ10kmとなる。
闇の中をすすむと、路は幹線道路となり少し明るくなる。
宮古島空港の脇を通り、平良港にさしかかったのが7時過ぎ。ようやく宮古島が遅い夜明けを、迎える。
近くの人達が、応援してくれる。小さな子供連れ。
「いってらっしゃい」
え。もう20km走ってるのに…この言葉が、今回1番ショックだった(^^)
つぎの目的は池間大橋。
写真のところです。これは以前レンタバイクで宮古を走った時のものです。
今回ぼくが一番走りたかったところ。
ここまでどういうわけか、お天気はもっている。というか陽もさして、まさに僕が走りたかった景色。
この橋を渡るときだけは晴れていますように、というのがぼくの最大の願いだった。
以降、願いは半分までは天気が持ちますように、80kmまで持ちますように、何とか雨には会いませんように、と変わっていく。願いはかなえられた。雨はふらなかった。
そのかわり風がとんでもなく吹いていた。
橋を渡ると島を回り、そしてまた池間大橋を渡る。
結構な向かい風が足に応える。気温はそれほど低くはないが風のせいで寒さを感じる。
橋を渡って50km地点。大エイド。オニギリには目もくれず、ゆし豆腐をいただいて、返す刀でおぜんざいもいただきました。
座ると辛くなるから、そのままスタート。
このあたりからか、並走する人がめっきり少なくなる。
50km。やっと半分、されど半分。
ここから先は、今まで走って来た距離がぼくを支えてくれる。
エイドは2.5kmごと、次のエイドを迎えらることを楽しみに走る。
60km。あと一回フルマラソンを走れば済む。
60kmを過ぎたあたりからは高度は最大100mながら、ゴールまでずっとアップダウンが続く。
前を見ると辛くなるから、足元だけを見る。
宮古島のコースは平坦なんて、きっと大嘘。
70km。あと30km。普段お気に入りのコース28kmの若干拡大版(^^)を走れば済む。

73kmあたりでガーミンちゃんが消える。バッテリー切れ?
100%充電を確認してたはずなのに。頑張れよ310XT。
ここからは時計も無し。前に進むだけ。
足元しか見てないので時々あたる木の枝が痛い。無礼者(^^;
80km。東平安名岬の入り口。ここにはエイドはなく「折り返してきたら大エイドだよ」、とボランティアから声をかけられる。
えー、身体はもうすでにお休みモードだったのにー(^^;
駄々をこねてもしょうがないので、岬の先端へ。
先端には白い灯台、これがすごくきれいなのだが、今日は愛でてあげられない。
前回の写真でお茶を濁します(^^)
82km。大エイド。
クリームパンをいただく。食べながら一緒になったさわやかお兄さんと雑談。
「つらいですねー、帰りましょっか(^^)」
早く終わらせるために走る。
お兄さんは、少しだけ歩いてから行きますとのこと。
走る。一生懸命走る。
89km。突然(でもないかな)足に力が入らなくなる。太腿の前面。
しゃがみ込む。少しさすって休む。
お兄さんが通り過ぎる。
「頑張って」ってガッツポーズ
わかってる、わかってるけどね、ありがと。
なんとか走り始める。90kmエイド。お兄さんに追いつく。
「復活しましたね」
ボランティアのおねーさんをまじえて雑談。
お兄さん「ここいつでもこんなに風きついんですか」
ボランティアさん「皆さんを歓迎してるんです」
お兄さん「この先、走ってて何かいいことあるんですか(^^)」
ボランティアさん「なんなら脱ぎましょうか(^^)」
ぼく「風邪引くからやめといてください」
お兄さん「さぁ、行きます」と走り始める。
ぼくもお水をのんでから「じゃあ行きます」
ボランティアさん「頑張ってください」
「いやだ(^^)」って言い残し、走る。
水しぶきがかかる。
雨ではない。岸壁に打ち寄せる波のしぶき。相当な風。
でも雨が降ってこないだけまし。走る
走って2km。また足が止まる。座り込む。
足をなだめてまた走る。95kmのエイド,7.5kmエイドは通り過ぎる。
置いてかれたはずのお兄さんが。97.5kmのエイドを通り過ぎたところで吐いている。
相当に辛そう。声はかけなかった。復活を祈ってる。
走る。あと1kmの標識。また足が止まる。。
しゃがみこむ。立てない。歩いて行こうかとも思ったが、歩けもしない。
じっとする。
復活したお兄さんが、「あと1km」って通り過ぎる。
立ち上がる。呪文を唱える。
格闘技マンガ好きだけが知ってている呪文。
「痛いのはぼくの足じゃない」
歩くより遅く走る。ここから1kmはもうとまらない。
でも呪文がききすぎた。腰から下が他人の感覚。
力が入らない。なんとか走ってゴールゲートが見えた。
ここで最後の強風。かぶってたキャップを飛ばされた。
反射的にふりむいてかがんで、拾い上げたらそこから動けない。
目の前で、ゼッケンを読みあげてくれてる。
はしりたい。けど、はしれない。
「もう急がなくて良いです」
ゴールゲートの人の声。泳ぐように、踊るように、
初めて立った仔馬の様に、ゴール。
ゴール後、立ち上がって認定証をもらう。
はじめてタイムがわかる。
頑張ったじゃない(^^)
かえりの送迎バスに向かった時、DJ(?)からインタビューをうける。
ゴールの時とても辛そうでしたがどこが一番つらかったですか?
「うーん。気持ちかな(^^)」

記録:10時間31分20秒

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